原則: 36協定における延長上限時間(1週 15時間、1ヶ月 45時間、1年 360時間)。
*36協定における延長上限時間の適用除外業務:
しかしながら、労働者の労働時間の実態が非常に過長であること、業務の性格上労働時間の管理が難しいことなどを理由に、一部延長上限時間の適用が除外された業務があります:
1) 工作物の建設等の事業(実際に建設等に携わっていない本店や支店勤務者も含む)、大規模な機械・設備の据付工事等
2) 研究開発の業務
3) 自動車運転の業務
4) その他、労働省労働基準局長が認めたもの(季節的要因および公益上の必要により、労働時間の変動または集中作業が必要な業務)。
*特別条項つき36協定:
1.特別条項とは:
労使協定(36協定)上限時間「時間外労働の限度に関する基準」を越えて就業させる為に、36協定に特別条項を定める。その要件として、
(1)「特別の事情」は、「臨時的なもの」:一時的又は突発的に時間外労働を行わせる必要。単に「業務の都合上必要なとき」や「業務上やむを得ないとき」と定めた場合は、臨時的なものには該当しない。特別の事情については、できる限り詳細に協定しなければなりません。
(2) 特別条項つき協定は、発動回数を定める義務が生じました。1カ月単位で特別条項を協定している場合、発動回数は最大六回(1カ月×六回=6カ月)に制限すること。たとえば原則の上限時間を月45時間と定めている場合、この45時間の限度を超える月を6ヵ月以内にすることです。
特別条項の上限を60時間としていれば、15時間の余裕があります。この15時間は何日に分割しても差し支えありません。5時間ずつに分けて3日残業させたから、特別条項の発動回数が三回になるわけではありません。仮にそうだとすれば、年内に後三回しか、条項を行使できなくなってしまいます。そうではなく、45時間を超え、60時間以内となった月が一回あったとカウントすればよいのです。3カ月単位で協定している場合、最大二回(3ヵ月×二回=6ヵ月)までしか認められません。協定に回数が定められていないものは、特別の事情が臨時的なものであることが明らかである場合を除き、基準に適合しないものとして扱われます。
(3)発動回数は、企業単位でも、職場単位でもなく、個人単位で数えます。ある職場で、仕事が忙しくなり、半年の間に六回(6月)、特別条項を適用したとします。それにより、残りの半年について、会社全体がこの条項を利用でいなくなるわけではありません。同じ職場でも、たとえば、10人のうち9人は限度一杯まで残業させてしまったけれど、1人に限っては四回しか45時間の限度を超えていなっかとします。たとえば、育児・介護休業の復帰者が2ヵ月間は休業期間だったため、まるで残業していなかったケースが考えられます。この場合、その人1人に限っては、年内に後二回、特別条項を適用して、長時間残業に従事してもらうことが可能です。
(4)特別条項の上限時間:特別条項の上限時間ついては、特に定められてはいません。しかし、過労死の認定基準(厚生労働省発表)が1ヵ月80時間となっていることを考えると、この時間が一応の基準として扱われるだろうと思います。やはり、両刃の剣です。