顧客の戦略的格付け(最終回)
執筆:有限会社アクチャーコンサルティング代表取締役 岩月 康隆(いわつき やすたか) 
プロフィール
一般に、顧客の格付けというと、ただ単に前年売上でのABC分析のみに終わっているケースが多い。例えば、顧客イ社と顧客ロ社に対して、自社の前年売上が同じ1,000万円だとする。前年売上によるABC分析をすると、当然イ社もロ社も同じランクになる。だから、イ社もロ社と同じように扱うべき顧客とされる。
しかし、これでいいのだろうか。イ社もロ社も自社にとっては、同じ売上であったとしても、これは、自社から見た場合であって、顧客から見た場合には、取引先としての自社の位置づけが異なるはずだ。
例えば、イ社の年間仕入額が1億円、ロ社の年間仕入額が1,100万円とすればどうだろうか。自社は、イ社に対してわずか10%の納入比率、ロ社に対しては90%以上を納入していることになる。つまり、自社にとって同じ売上でも、顧客の胃袋(仕入額)の大きさの違いによって攻めるべき先なのか、守るべき先なのかの違いが出てくるはずだ。
以上の場合、イ社は、まだまだ自社にとって売上を伸ばす可能性が高い顧客だから、攻めるべき先となり、ロ社は、自社がほぼ独占しているわけだから、守るべき先又は、仕入額が増えるよう育てる先となる。本来はこのような判断に基づいて行動すべきである。
この判断をするための分析手法と、その結果からどのような営業活動を行うのかが重要になる。
http://www.blwisdom.com/gg/lanchester/06/01/