EMS 環境マネジメントシステムは、EMS(Environmental Management System)とも言われ、「全体的なマネジメントシステムの一部で、環境方針を作成し、実施し、達成し、みなおしかつ維持するための、組織の体制、計画活動、責任、慣行、手順、プロセス及び資源を含むもの」です。
持続的開発の観点からISO/TC207によって開発されたEMSの規格であるISO 14000ファミリーについて、日本では、国家規格であるJIS規格として発行しています。
EMSの審査登録のしくみはISO/IEC GUIDEで統一されています。
経緯ケイイ 地球環境問題に対する国際的な解決策を議論するために、1992年6月“地球サミット”(国連環境開発会議UNCED:United Nations Conference on Environment and Development)が開催されました。
この地球サミットを産業界として成功させるために、世界のビジネスリーダー50名(日本からは、京セラ会長、王子製紙会長、日産自動車会長、新日鉄会長、三菱コーポレーション会長、東ソー会長、経済同友会メンバーの7名)からなる「持続的発展のための産業界会議」(BCSD:Business Council for Sustainable Development)が創設されました。
BCSDが“持続的発展”の諸局面について分析を行っていく過程において、環境マネジメントの国際規格化の考え方が出てきたため、諮問グループを設けて検討した結果、次の結論が得られました。
ビジネスにおける持続性のある技術(Sustainable technologies)の導入、推進のため、環境の国際規格は重要な手段となり得る。
ISOはこの計画を実施するための適切な機関である。
製品・サービスのライフサイクル分析に何らかの規格作業が必要である。
このため、BCSDはISOに対して環境に関しての国際標準化に取り組むよう依頼を行いました
これを受け、ISOは環境に関する標準化の課題について検討するため、IECと共同でアドホックグループ「環境に関する戦略諮問グループ」(ISO/IEC/SAGE:Strategic Advisory Group on Environment)を1991年9月に設立しました。
SAGEの委任事項は、次のとおりです。
持続可能な産業発展の概念において具体化されるキーエレメントの世界的運用を促進するために、将来の国際規格作業のニーズを発掘すること。
環境パフォーマンス/環境マネジメントの標準化に関する全体的なISO/IEC戦略的計画を勧告すること。
ISO理事会及びIEC総会に対し、その勧告について報告を行うこと。
ISO理事会は、SAGEからの報告を受け、1993年2月、環境マネジメント専門委員会[TC207(Technical Committee)]の新設を決定しました。
BCSD 持続的発展のための産業界会議(BCSD:Business Council for Sustainable Development)
ISO/IEC/SAGE 環境に関する戦略諮問グループ(ISO/IEC/SAGE:Strategic Advisory Group on Environment)
TC207 環境マネジメント専門委員会 TC207(Technical Committee)
要求ヨウキュウ事項ジコウ ISO 14001とは、企業活動、製品及びサービスの環境負荷の低減といった環境パフォーマンスの改善を継続的に実施するシステム【環境マネジメントシステム(EMS:Environmental Management System)】を構築するために要求される規格です。
具体的には、まず組織の最高経営層が環境方針を立て、その実現のために計画(Plan)し、それを実施及び運用(Do)し、その結果を点検及び是正(Check)し、もし不都合があったならそれを見直し(Act)、再度計画を立てるというシステム(PDCAサイクル)を構築し、このシステムを継続的に実施することで、環境負荷の低減や事故の未然防止が行われます。(下図 環境マネジメントシステムモデル)
この規格は、組織が規格に適合した環境マネジメントシステムを構築していることを自己適合宣言するため、又は第3者認証(審査登録)取得のために用いられます。(審査登録制度)
組織がこの規格に基づきシステムを構築し、認証を取得することは、組織自らが環境配慮へ自主的・積極的に取り組んでいることを示す有効な手段となります。
参考: ISO 14001自体は、特定の環境パフォーマンス基準には言及していない。
要求ヨウキュウ事項ジコウ
4.1 一般要求事項ジコウ
環境マネジメントシステムモデル
4.2 環境方針
4.3 計画
4.3.1 環境側面
4.3.2 法的及びその他の要求事項
4.3.3 目的、目標及び実施計画
4.3.4 マネジメントプログラム
4.4 実施及び運用
4.4.1 資源、役割、責任及び権限
4.4.2 力量、教育訓練及び自覚
4.4.3 コミュニケーション
4.4.4 文書類
4.4.5 文書管理
4.4.6 運用管理
4.4.7 緊急事態への準備及び対応
4.5 点検
4.5.1 監視及び測定
4.5.2 順守評価
4.5.3 不適合並びに是正及び予防処置
4.5.4 記録の管理
4.5.5 内部監査
4.6 マネジメントレビュー
組織ソシキ構造コウゾウ ISO/TC207の組織構造は、TC(Technical Committee:専門委員会)の下に、CAG(Chair's Advisory Group)、5つのSC(Sub-Committee:分科委員会)及びTCG(Terminology Coordination Group)、並びに4つのWG(Working Group:作業グループ)をもつ構造となっています。
 
  SC/WG 議長国/幹事国
TC207 (TC統括) カナダ・ブラジル/カナダ(CSA
    CAG:議長諮問委員会 カナダ・ブラジル/カナダ(CSA
SC1:環境マネジメントシステム イギリス・インドネシア/イギリス(BSI)・南アフリカ(SABS
SC2:環境監査及び関連調査 オランダ/オランダ(NEN
SC3:環境ラベル オーストラリア(SAI
SC4:環境パフォーマンス評価 米国(ANSI
SC5:ライフサイクルアセスメント ドイツ/フランス(AFNOR
TCG:用語 ノルウェー・アルゼンチン/ノルウェー(NSF)
WG4:環境コミュニケーション スウェーデン(SIS
WG5:気候変動 カナダ(CSA)・マレーシア
WG6:温室効果ガスに係る検証・認証機関に対する要求事項 カナダ(CSA)・南アフリカ
WG7:環境側面の製品規格への導入 デンマーク/ドイツ(DIN)・コロンビア(ICONTEC
ISO/TC207の組織構造図
ISO/TC207(環境マネジメント)規格名称
SC 規格番号 規格名称 ISO発行 JIS制定
SC1 ISO 14001 環境マネジメントシステム−要求事項及び利用の手引 04.11.15 04.12.27
ISO 14004 環境マネジメントシステム−原則、システム及び支援技法の一般指針 04.11.15 04.12.27
WD 14005 環境マネジメントシステムの段階的実施に関するガイド 2008年発行予定  
SC2 ISO 14015 環境マネジメント−用地及び組織の環境アセスメント(EASO) 01.11.15 02.08.20
ISO 19011 品質及び/又は環境マネジメントシステム監査のための指針 02.10.01 03.02.20
SC3 ISO 14020 環境ラベル及び宣言−一般原則 00.09.15 99.07.20
ISO 14021 環境ラベル及び宣言−自己宣言による環境主張(タイプU環境ラベル表示) 99.09.15 00.08.20
ISO 14024 環境ラベル及び宣言−タイプT環境ラベル表示−原則及び手続 99.04.01 00.08.20
TR 14025 環境ラベル及び宣言−タイプV環境宣言 00.03.15* 00.08.01
 
TR Q 0003
FDIS 14025 環境ラベル及び宣言−タイプV環境宣言 2006年発行予定 JIS制定予定
SC4 ISO 14031 環境マネジメント−環境パフォーマンス評価−指針 99.11.15 00.10.20
TR 14032 環境マネジメント−環境パフォーマンス評価の実施例 99.11.15  
SC5 ISO 14040 環境マネジメント−ライフサイクルアセスメント −原則及び枠組み 97.06.15* 97.11.20
ISO 14041 環境マネジメント−ライフサイクルアセスメント −目的及び調査の範囲の設定並びにインベントリ分析 98.10.01* 99.11.20
TR 14049 環境マネジメント−ライフサイクルアセスメント −目的及び調査範囲の設定並びにインベントリ分析のJISQ14041に関する適用事例 00.03.15 00.12.20
 
TR Q 0004
ISO 14042 環境マネジメント−ライフサイクルアセスメント −ライフサイクル影響評価 00.03.01* 02.03.20
ISO 14043 環境マネジメント−ライフサイクルアセスメント −ライフサイクル解釈 00.03.01* 02.03.20
TR 14047 環境マネジメント−ライフサイクルアセスメント ISO14042に関する適用事例 03.10.13 JIS/TR
 
予定
TS 14048 環境マネジメント−ライフサイクルアセスメント −データ記述書式 02.04.01 04.10.20
 
TS Q 0009
FDIS 14040 環境マネジメント−ライフサイクルアセスメント −原則及び枠組み** 20069月発行予定 JIS改正予定
FDIS 14044 環境マネジメント−ライフサイクルアセスメント −要求事項及び指針** 20069月発行予定 JIS制定予定
TCG ISO 14050 環境マネジメント−用語 02.05.20* 03.02.20
CD2 14050 環境マネジメント−用語 2006年発行予定  
WG3 TR 14062 環境適合設計(DFE) 02.11.01 03.07.01
 
TR Q 0007
WG4 FDIS 14063 環境コミュニケーション 2006年発行予定 JIS制定予定
WG5 ISO 14064-1 温室効果ガス−第1部:仕様並びに温室効果ガス排出量及び除去量の定量化と報告に関する組織レベルの手引 06.03.01 JIS制定予定
IS0 14064-2 温室効果ガス−第2部:仕様並びに温室効果ガス排出量削減又は除去量増大の定量化、監視及び報告に関するプロジェクトレベルの手引 06.03.01 JIS制定予定
ISO 14064-3 温室効果ガス−第3部:仕様並びに温室効果ガス主張の検査及び検証の手引 06.03.01 JIS制定予定
WG6 DIS 14065 温室効果ガス−温室効果ガスの検証及び検証機関に対する要求事項 2007年発行予定 JIS制定予定
WG7 ISO Guide 64 製品規格に環境側面を導入するための指針 97.03.05* 98.03.20
 
Q 0064
CD Guide 64 製品規格に環境側面を導入するための指針 2008年発行予定  
審査登録 組織が構築した品質マネジメントシステム又は環境マネジメントシステムが規格の要求事項に合致しているか審査し登録する「審査登録機関(外部サイトへリンク)」、その審査員になるために必要な研修を実施する「審査員研修機関」及び審査員の資格を付与する「審査員評価登録機関」、そしてこれら各機関がその業務を行う能力を備えているかをみる「認定機関」からなる総合的な仕組シクミ
審査登録
審査登録のしくみ