タイプA・B・C:

  これまでの研究により特定の性格傾向が特定の身体疾患と関連があることが分かっている。

タイプA行動パターンとタイプB行動パターン:

  フリードマン, Mと.ローゼンマン, R.H.は、狭心症や心筋梗塞などの心臓疾患になりやすい性格傾向を明らかにし、それをタイプA行動パターンと名づけた。

タイプAは、性格面では、競争的、野心的、精力的、何事に対しても挑戦的で出世欲が強い、常に時間に追われている、攻撃的で敵意を抱きやすい、行動面では機敏、せっかち、多くの仕事に巻き込まれており、身体面では高血圧、高脂血症が特徴である。自らストレスの多い生活を選び、ストレスに対しての自覚があまりないままに生活する傾向がある。血圧が上がる、脈拍が増えるなどのストレスに対しての反応によって循環器系に負担がかかり、心臓疾患の発症に関係してくると考えられている。

タイプBは、タイプAとは反対の性格傾向を持つ人のことを言う。あくせくせずにマイペースに行動し、リラックスしており、非攻撃的などの性格傾向を持つ人である。タイプAの人はタイプBの人よりも2倍も心臓疾患になりやすいことが報告されている。

  日本には、仕事熱心、仕事中毒、仕事命の人が多くおり、そのような人の中には、このタイプAの人が多くいると考えられる。タイプAの行動パターンは現代社会で成功するための1つの条件であることもあり、また、しばしば賞賛される。しかし、フリードマンによると、タイプAの方が大きな成功を収めるように見受けられるが、実際のところはタイプBの方が成功しやすいそうでもある。それは、タイプAの人はストレスによって疾患を患う確率が高く、仕事に支障をきたす場合が多くなるからである。せっかくがんばって多くの仕事をこなしても、体調を崩して長い期間仕事ができなくなってしまったら元も子もない。ご自分の仕事ぶりがタイプAに近い人は、自分のライフスタイルを見直して、気持ちにゆとりのあるタイプB的な態度を身につけるように意識してみてはいかがでしょう?

さらなる研究により、がんになりやすい性格傾向が発見され、タイプC行動パターンとされた。タイプCの人は、いわゆる「いい子」で自己犠牲的であり、周囲に気を遣い譲歩的、我慢強くて怒りなどの否定的な感情を表現せずに押し殺す、真面目で几帳面といった特徴を持っている。

  このように特定の性格傾向が特定の身体疾患と関係があることが研究により示されてきているが、一体どうして性格が病気と関係があるのか?同じストレス状況でも、性格によってその感じかたやストレスへの対処が異なる。神経質な人は楽観的な人よりもストレスを多く感じ、抑うつや絶望感などを感じやすくなる。そして、ストレスがホルモン分泌や自律神経系に影響し、抑うつや絶望感などが免疫力を低下させる。このように、ストレスを強く感じる性格傾向を持っている人は、病気になりやすいというリスクも同時に持っていることになる。